DEATH LIFE
 「そのまま……目を閉じていて……」

 目を開けようとした俺の機先を制して、ハの声が耳に届く。

 しばらくすると感触は無くなった。

 「開けていいわよ」

 ゆっくりと目を開いた俺が見たのは、元通り夕日色の部屋と背を向けて立つハだった。

 今の柔らかい感触はもしかして――

 「あの……もしかして今俺の唇に――」

 俺の言葉が終わる前にハは振り返った。

 均整の取れた顔が朱いのは夕日のせいだけではないだろう……
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