DEATH LIFE
 一発ぐらい殴っていいよな?

 いや、仮にも死神ってぐらいだからまずいか?

 心の中で葛藤をする俺をよそに、死神はフワリフワリと上昇し、やがて雲を突き抜けた。

 「うわっ!」

 雲の上には空が広がり、さらには大気圏、宇宙がある。

 しかし雲を抜けた先には、空も大気圏も宇宙もなく、光が交錯する世界だった。

 「な、なんだよここは?」

 「ここは亜空間よ、幽界と現世を繋ぐバイパスみたいなものね」

 「亜空間――そんな……SFじゃあるまいし」
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