消えた願望
隠れたままで…
私は23歳になった。清春は2つ上で今は少しずつテレビに出るようになっていた。まだ客のいないお店で女の子達とお喋りしていた。 「(美恵)あたし彼氏と別れた~二股どころじゃなかったんだよ!?最悪!蘭ちゃん羨ましいわ。優しそうな彼だし今をときめくお笑い芸人」 「でも売れてないからさ…優しいのはホントだけどね」 「(レイカ)テレビ見たよ~ん。貧乏だったから小学生の頃バイトしてお母さん助けてたんだって」 「でもそのバイト中自転車乗っててコケてバイト代より治療代が高かったと言う」 「(美恵、レイカ)あほや~」 「(美恵)蘭ちゃん家は金持ちそう」 「フツーだよ。一般的な会社員」 「(美恵)うちも貧乏だったけどまぁ楽しかったよ家は。たまにお父さんがおやつ手作りしてくれたり」 「(レイカ)カワイ~。あたしんちは二人目の親父だけどおとなしい人で何も言わないんだ。高校の時、夜中まで遊んで終電なくなって帰れない時電話すると文句も言わず何時でも何処へでも迎えに来るんだよ」 「怒んないの?」 「(レイカ)うん。だから一回聞いた事あるんだ。なんで怒らないんだよって。そしたらいくら遅くなっても連絡くれるし心配するのと怒るのは=じゃないって。でもやっぱり心配だからもう少し早く帰って来てみたいな」 「(美恵、蘭)いい親父じゃーん」 「(レイカ)蘭とこは?」 「うちは…酒乱でもないし、暴力も特別なかったし、なんだろ。合わないって言うか、いまいち思い出せない」 「(美恵)可哀想~忘れられてる」 そう言えば…もちろん怒られたりひっぱたかれた事はある。でもあんまり一緒に居た事はない。遊びに行った記憶はない。あるんだろうけど所々ポッカリ…何にもない。