Pride
由樹は、うつむいたまま今にも泣いて逃げ出してしまいそうな自分を抑えていた。

「ゆぅ~~~きぃ~~~!!」

ヒソヒソと囁かれるウワサ話を打ち消すような少し甲高い大きい声がして、ポンと後ろから肩を叩かれた。

「・・・め、ぐみ・・・」

恵美は小学校の頃からいつも一緒に遊んでいて、中学校も高校もず~っと一緒の親友だった。

「なぁ~に、暗い顔してんのよ、もう身体は平気なの?」

昔から元気でさっぱりした性格の恵美は、いつも由樹を引っ張っていく良いお姉さん役でもあった。

「うん、もうリハビリもほとんど必要ないし、病気前と何も変わりないよ」

「そう、よかった」

ニコニコと笑う恵美を見て、由樹はホッとした。

恵美は変わってない、周りにどんなことを言われようと恵美は味方でいてくれる、恵美がいてくれてよかった・・・。

「あ、教室移動の授業だから、もう行くね、また」

恵美とは、クラスが違うので休み時間か放課後しか一緒にいられない。

だけど、恵美が変わらず自分の味方でいてくれたことで、もう周りの声など気にならなくなった。


【つづく】
< 8 / 8 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

美女は魔獣

総文字数/5,528

ファンタジー9ページ

表紙を見る
戯言

総文字数/245

その他2ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop