先輩と卒業



―――ガラッ


保健室の扉が開いた。



けが人かと思い、振り返るあたし。


来た人はあきらかにケガしてなさそうな男の人だった。


「何か...?」



あたしがその人に言う。


その男の人は三年だった。


「あ〜...今からサッカーしに行くの」


はい?
サッカー!?


なら保健室来る必要なくない?


「サッカーするのに保健室に来る必要あるんですか...?」



つい聞いちゃったあたし。


先輩は驚いた顔をしていた。



それもそうだろう。

初対面のあたしがいきなり三年にケンカを売るような言葉を発しているからである。



でもサッカーをしに行くのに保健室に来る先輩も周りからみれば不思議な子だろう。




「ばかだな〜!保健室から出た方が運動場から近いの!いわゆる近道ってやつ」


先輩はニカッと笑って答えた。




―――ドキッ...



先輩があたしを見て笑う無邪気な笑顔にきゅんとしてしまった。



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