先輩と卒業


「名前何?三年じゃねぇよな?」



先輩があたしに聞いてきた。




「は...?」




口をあけて思わず言ってしまった。




「だから!何年の名前は?」


「安形橘の二年です」



あたしが答えたら先輩は



「俺、羽折颯太ハネオリソウタ!」

ニカッと笑って話してきた。




「そうですか...」



そう一言言い残しくるっと椅子を回転させた。



「じゃ〜俺サッカーしてくるか!」




そういいはなち扉をいきよいよく開けとびたしていった颯太先輩。



みんなの輪に入り楽しそうにサッカーをしていた。



その颯太先輩はすごくカッコ良かったんだ...



「颯太先輩...」


いつのまにかずっと見ていたあたし。



颯太先輩には人を引き付ける輝きがある...


あたしはそう思った。


颯太先輩はそれから
ちょくちょく保健室を通る。


誰かがいる時でも
あたしだけの時でも
それから話すことはなかった。


でもあたしは颯太先輩のサッカーをしている姿をただただ静かに見ていたんだ。


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