大好きだった
「もしもし?まだ大丈夫ですよ~」


啓太に言われる前に自分から話した私に啓太は焦ったように


「舞花、今すぐ病院行け」

「えっ?何で大丈夫なのに?」


「違う、翔バーの病院だ、タクシー乗って、すぐ行けよ、俺も行くから」


「…何で?」


「いいから」


一方的に電話を切られてしまって


啓太の尋常じゃない焦りが伝わってきた。


着替えを済ませ、バタバタとタクシーに乗り込み、病院に向かった。


もう1年会ってない、翔ちゃんの、ばーちゃんの病院

啓太は行っても良いよと
言ってくれてた


でも私は行けなかった


翔ちゃんに会ってしまったら?


ユイに会ってしまったら?

あの時の私には、好きなのに一緒に居てくれない翔ちゃんに会う勇気は無かった。
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