大好きだった
タクシーを降りて


1年前までは毎日来てた病室へ足を向ける


ばーちゃんに何があったのか…


啓太の焦りようで、なんとなく分かってた


「ちょっと!!」


ナースステーションの前を通りかかると


一人の看護師が私を呼び止めた。


「舞花ちゃん、こっち」


私がいる廊下の反対側に行けと言う看護師


そっちに足を進めると


懐かしい後ろ姿…


「翔…ちゃん?」


私の声は小さかったと思う

でも私の声は、自棄に響いた


「…舞花」


切なく私を呼ぶ翔ちゃん


ベッドには沢山の機会に囲まれた、ばーちゃんがいた

ベッドの横まで近くと


翔ちゃんは自分の椅子を私に譲ってくれた


「もう…無理らしい…」


ばーちゃんの手をギュッと握って


悔しそうに呟いた翔ちゃん

ただ私は、ばーちゃんを見つめ続けた。
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