大好きだった
しばらくすると、ドアの向こうから人の足音がする、

ガチャッ


ドアが開いて、息を切らした翔ちゃんが入ってきた。

「舞花」


「ほら、翔ちゃん来たよ。櫂も幸も、もう安心だね」


2人から体を離し私は立ち上がった。


「じゃぁね」


翔ちゃんに笑顔を向けて、ドアの方に歩きだす


「舞花…」


翔ちゃんの横を通り過ぎると、後ろから名前を呼ばれた。


「舞花…帰らないで」


幸が私を追いかけてきた。

「幸?」


「舞花が良い、翔兄じゃなくて…舞花が良い」


「どうしたの?幸は男でしょ?翔ちゃんもい…」


「何で舞花は家に帰ってこなあの?」


私の話しを遮って幸が話しだす


「えっ?」


「舞花がいないから、ばーちゃん淋しくて倒れたんだ、舞花がいなくなるから…舞花が…」


「幸ごめんね、舞花が悪いね」


幸に目線を合わせると、涙を堪えてるのが分かる。


「幸、また遊びに行くからね!ばーちゃんの言う事聞いて、元気に学校行きなよ」


宥めるように言っても、幸は首を縦に振らない。


「いやだ」


を連呼して、私の声も届いているかわからない。
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