大好きだった
「いてやってくれないか?」


翔ちゃんの切ない声が聞こえた。


翔ちゃんに目を向けると

翔ちゃんは悲しそうな顔をしていた。


「彼女にいてもらったら?」


嫌みとかじゃなくて、本当の気持ちだった


「彼女って…」


「ユイだっけ?来てもらったら?こっちに来てるんでしょ?美波に聞いた」


翔ちゃんは、やっぱり悲しそうな顔で


「そんな事…言うなよ」


「そんな事?って…翔ちゃんが、選んだ事でしょ?私に冷たくして、翔ちゃんから離れるようにしたのは、翔ちゃん自身でしょ?」


「………」


「ごめん、やっぱり帰る、ばーちゃんの事は心配だけど…翔ちゃんといたら、翔ちゃん責めちゃうから…私まだ翔ちゃん好きだから、この状況は辛い…こんな時でも泣けない私だけど、もう心が限界なの」


ドアに手を掛けると


「行くな、いてくれよ、お前と離れたくねぇよ、俺も櫂も幸も…お前がいねぇと…」


翔ちゃんは、きつく私を抱きしめて離そうとはしない。


「翔ちゃん…無理だって。私は、二股なんて…無理だから」
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