大好きだった
「付き合ってなんかねぇ…お前と別れたつもりねぇし」


翔ちゃんの切ない声は、とても小さかった。


「えっ?」


「お前じゃないと無理…もう絶対泣かせねぇから」


頼むよって翔ちゃんが泣きそうだったから、翔ちゃんを拒めなくなった。


「とりあえず座れ」


翔ちゃんと幸に手を引かれ椅子に腰をおろした。


「ユイは、勝手に来ただけ、俺、舞花が泣いた時、自分がした事に後悔した…お前が俺の事待ってくれてるの当たり前だと思ってた。」


翔ちゃんは、自分の気持ちを、ゆっくり話してくれた。

「俺…弱いな。櫂や幸に、舞花は?て聞かれるのが嫌で家にも帰れなかった」


俯いて話す翔ちゃんを覗き込んで聞きたい事を口にしてみた。


「私の事…まだ好き?」


「好きだ…」


翔ちゃんは、私の頬に触れて優しく笑った。


「お前がいねぇと…心に大きな穴が開いたみたいで…何も出来ねぇ…だから…戻ってくれねぇか?」
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