大好きだった
さっきから翔ちゃんのポケットから聞こえるバイブの音


「翔ちゃん電話なってるんじゃない?」


翔ちゃんのポケットに目をやると


翔ちゃんは「いい」と言って電話をとらなかった。


ドアが開き 看護士さんが「神田さんの御家族ですか?」てニコッと笑った


翔ちゃんは「はい、祖母は?」と立ち上がりドアに近づいた。


私は櫂と幸の背中に手をそえて歩きだした。


看護士さんと翔ちゃんが前を歩く。


処置室の前に着くと

「先生と話してくるから、ここで待ってろ」


翔ちゃんは、中に入って行った。


幸が私の手を握り、ギュッと力をこめた。


「大丈夫だよ」


こんな言葉しかかけてあげられない私


2人とも「うん」とドアから目を離さず頷いた。
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