大好きだった
食べ物と食器を集め終わって


割れた破片が無いか見渡す

翔ちゃんが持ってきた雑巾で拭いて、立ち上がると


やっぱり、翔ちゃんは
ボーとしてて


「翔…ちゃん?」

名前を呼ぶと反応はするものの心ここに在らずって感じ


「舞花~お腹空いた」


家に帰って安心したのか下の2人がお腹を擦ってる。

台所に行って うどんを作った。


翔ちゃんは部屋に行ったっきり、出て来なくて。


「翔ちゃん?うどん食べない?」


襖を開けずに話しかける


「食べる」

いきなり開いた襖に驚いて体を引いてしまった私を見て


口だけ上げて翔ちゃんが笑った。


「何で入んないの?」


私に問いかける翔ちゃんに

「だって…翔ちゃんの部屋が…」


「変わってないし…誰も入れてない。舞花と別れたつもり無いって言ったしょ?」


「でも…」


「もう無理?俺の事…嫌いか?」


切ない声が私の耳元で囁かれ


私は静かに首を横に振った。


「舞花、頼むから側に居てくれよ」


力強く抱きしめられた
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