秘密~「ひみつ」のこと
市役所で、
係りの人と相談して、
母の葬儀の手配をして貰った。

斎場で焼いて、
簡単な葬儀をした後、
合同葬にする。

市役所の人が、
「お骨はしばらくお手元にお置きになりますか?」って聞いた。

とんでもない!
首を大きく横に降った。

明日、
病院の霊安室から斎場へ。
それで、
全ておしまい。

病院へ戻り、
滞納の入院費を払った後、
あたしは逃げるようにその町を後にした。

手続きは済んでるんだ、
後は誰かが、
どうにかしてくれる…

斎場の支払いも含め、
母があたしに残したお金は、
殆んど残らなかった。

結局、
あんたは自分の為に
このお金を貯めてたってことさ!

あんたの気持ちは
あたしには届かなかった。

あたしは、
ただ、
あんたの愛が
欲しかっただけなのに…

もう振り向かないよ。

どんなに求めても、
母の愛は、
もう手の届かないところへ
行ってしまったから…



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