秘密～「ひみつ」のこと

「そうなのよ！二人！」

「あいつが名古屋支店から移動してきたのも、女絡みの問題が原因だったらしいんだけどね」

「問題って？」

「女子社員を妊娠させて、捨てようとしたらしいの。その女子社員が上司に報告して、問題になったの」

「何で放免されたの？」

「なんでも、その女子社員っていう娘も、結構男遊びしてたらしくてね。結局、その妊娠した子が奴の子だって言い切れなかったらしいのよ」

「なんでそんな奴が本社に？」

あたし、
真実の追究に躍起になってた。
あたしの知らない、
奴の本当の姿。

「人事としては、下手に田舎の支店に飛ばして目立つより、人数の多い本社で抱えた方が本人も自粛するだろうって、勝手に思い込んでたらしいわ」

「で、奴はどうなったの？」

「今回は二人じゃない？奴も同時に二人に告発されて、申し開きできなかったみたい」

「で？」

「結局、三人とも会社辞めたの。奴は勿論解雇。彼女達は、依願退社。やっぱりさぁ、居辛いよね～子供は堕ろしたみたいだけどね」

「そう…」

なんか、身体中の力が抜けていった。

あたしに見せてた、
気弱な優しさ、
あたしを無邪気に求める
子供のような顔、
あれは全て、
演技だった？