秘密~「ひみつ」のこと
「僕達夫婦はね、サキを養女に貰うって決めてから、共同体みたいなものなんだ。彼女はサキの世話をする為に丸まる一年仕事を休んで面倒を見た。そしてその後は、僕達は共同してサキを育ててきた。さすがに最初オシメを替えた時はちょっと戸惑ったけどね。サキは女の子だろ?やっぱり、ちょっと抵抗あったな。でもそのお陰で、僕はサキのおしりのホクロの場所まで、ばっちり知ってるって訳さ」

「ホクロ?」
「あっ、それはサキには内緒な。年頃だし」

あたしの『咲』?
まさか、ね。

「お茶、どうぞ」

サキは綺麗なティーカップに紅茶を入れて運んできた。

「サキちゃんは、高校一年生?」

「ううん、二年です」

あたしが、咲を身ごもった歳だ。

「お誕生日とか、聞いていい?」

「8月13日」

カップが手から滑り落ちた。

「あぁ、ごめんなさい…」

あたし、こぼれた紅茶を必死にハンカチで拭いながら、今聞いた言葉に衝撃を受けていた。

「ユイ、どうしたんだい?」

翔一さんの声が遠くに聞こえる。

嗚呼、
顔が上げれない。

きっと、
醜い顔してる。

「ユイ?」

翔一さんの差し出す手を
振り払った。

駄目、
あたしに触らないで!

あたしは、
両手で顔を覆い、
咽び泣いた。


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