秘密~「ひみつ」のこと

サキとカズ

夕暮れ、公園のベンチ。

最近の二人の日課、
夕方の公園デート。

三日前、
カズから電話があった時は驚いた。

『母さんが、自殺未遂。今、病院。明日、俺、休むから…』

消えてしまいそうな声だった。

幸い、
発見が早くて、
命に別状はなかったらしい…
でも…

「カズ、お母さんの具合どう?」

「うん、まだ目が覚めない」

「どうして目が覚めないんだろうね…」

「医者の話だとさ、傷の出血はたいしたことなかったんだって。目が覚めないのは、精神的なものじゃないかって…」

「お母さん、『ひみつ』に耐え切れなくなったんだね、きっと。あたしやカズみたいに、誰かに話しちゃえば楽になれたのにね」

「そうだよなぁ」

「あたしのお母さんも、『ひみつ』を話して楽になったと思う。『ひみつ』を話すって、呪いを解くようなものなんだよ…」



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