秘密~「ひみつ」のこと
「あなたのこと、恨んでない訳じゃない。でも、翔一さんも言ってたでしょ?奇跡が起こったって!これは運命なのよ!」

優子は運命論者だから…
って、翔一さん言ってたかも…

「サキがあなたの生んだ子だって、聞いた時も、あたし、それほど驚かなかった。なんか、自然に受け入れられたの」

「優子さん、あたし、あなたにどれほど感謝しても、し足りないです…サキをあんな良い子に育ててくれて…」

「あら、それはあたしがあなたに言う言葉よ!あんな可愛いサキを、あたし達に預けてくれて、ほんと、ありがとう!あたし達、サキのお陰で、幸せだったの。ホントよ!」

サキの優しさは、
この育ての母がいたからだって、
素直に信じられた。

「あたしは、子供が生めないの。悲しいけど、それが現実。だから、サキと翔一が、あたしの唯一の家族なの。夫婦の絆はほどけても、家族の絆は失いたくないの…」

「優子さん…」

「あたしがあなたの子を育てたのも運命。あなたが翔一と出合ったのも運命。そう割り切ったら、あたしを家族の一人に加えてもらっても、バチ当たらないでしょ?」

「サキは、優子さんのこと、自慢のママだって…」

「うん、わかってる…」

優子さんは、嬉しそうに頷いた。

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