秘密~「ひみつ」のこと
別れ際、

「そう言えば、唯さん、大学進学、諦めてないわよね?」

優子さんが、真面目な顔で聞いた。

「えっ?」

「翔一が心配してたから…唯が大学諦めたら、俺のせいだって」

「翔一さんが?」

「子供ができたから、諦めるつもりじゃないかって、心配してたわ」

「…」

図星だった。

だって、
もう、
大学行く意味、
ないかもって…

「翔一、そういう所、しつこいから…覚悟しといた方がいいわよぉ」

心理学勉強して、
カウンセラーになりたいなぁって、
思ってた。
ずっと、
それが夢だった…
諦めなくても、
叶うのかな?
この幸せと、
引き換えでなくても、
そんなに、
欲張って、
バチ、
当たらないかな…

「欲張っていいのよ!」

優子さんが笑った。

なんだか、
ドンと、
背中を押された気がした。

「あなたが幸せになることが、皆の幸せなのよ!」

自分の幸せ、
願うって、
そんなこと、
あたし、
やったことなくて、
わかんなかった…
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