秘密~「ひみつ」のこと
手を取られて、
仕方なく、
家の中へ入った。

「カズノリ~、お客様よ~」
階段の下から、お母様がカズを呼ぶ。

あぁ~まずいよ~

「何だよ、誰だよ」

階段から下りてきたカズと
目が合うなり、
気まずくて横向いた。

「サキ、かよ…」

「バスケ部のお友達でしょ?」

「俺の彼女!」

「えっ、あら、そうなの」

あぁ~まずいよ~
はずかしいよ~
お母様が、マジマジとあたしを見つめる。

「あらためて、はじめまして、サキさん。私、母の容子です」

「はい…」

あたし、
穴があったら、
入りたいよ~

「サキ、そんなとこ立ってないで、上がれよ!俺の部屋2階だから」

「え~と、でも…」

「用があるから来たんだろ?」

「まぁ…」

「サキさん、どうぞ!汚い男の部屋だけど、ご遠慮なくね」

「母さん、『汚い』は余計だよ!」

「じゃ、お言葉に甘えて、お邪魔します」

あたし、
緊張して、
玄関でつまずきそうになっちゃった。
でも、
お陰で、
不安な気持ち、
どっかへ飛んでったみたい…
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