秘密~「ひみつ」のこと
カズの部屋は、
ベットと勉強机があるだけの、
殺風景な部屋だった。

男の子の部屋って、
こんなんなんだぁ~
って、キョロキョロ見てたら、
カズにおでこを、
デコピンされた。

「あんまり、みんなよ…ほら、この椅子座れよ」

「ゴメン、つい…」

あたしが椅子に座ると、カズはベットに腰掛けた。

「で、何だよ、家にまで押しかけてくる用って?」

「用って、用じゃないかも…」

「何だよ!」

「だって、カズ『クラブのある日は夕方のデートはなし』って、今日だって先に帰っちゃうし、マユと話してたら、ヨッシーも様子が変だって言うし、マユが『なんか、おかしい…』って脅かすから、あたしも心配になってさぁ…」

「『様子が変って』何だ、それ?」

「急に冷たくなった…」

「俺がいつ、お前に冷たくしたんだよ?」

「いつって言われても、いつって事はないけど…」

「さっきまで学校で会ってただろ?」

「まぁ、そうですけど…」

「だって、理由がわかんないと、不安だよぉ」

「…」

カズは大きくため息をつくと、真面目な顔してあたしを見た。

「理由を言わなかったのは、悪かった。ちょっとはずかしくてさ」

「はずかしいって、何?」

「勉強。中島とも話して、俺達、そろそろ真剣にならないとヤバイぞっってことでだな、クラブはサボれないから、デートの時間を削るしかないってさぁ~苦渋の決断をした訳だよ。マジにお前らに言ったら、馬鹿にされるかもって、なんとなくお茶を濁してた」

「はぁ~勉強ぉ~」

なんか、拍子抜け…

「小林なんか、白石が出来るから、もっと切実なんだ。俺だって、希望の大学入りたいしさぁ。だから、時間作って、勉強してんの!」

「ヨッシーも?」

「たぶんな」

「はぁ~」

マユ、どうしただろう?





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