秘密~「ひみつ」のこと
「駄目、サキは俺がいいの!兄貴はお呼びじゃないの!もう、用済んだら出てってくれよ!」

「カズくん、冷たいのねぇ~」

お兄さんは、作り声でそう言うと
踊りながら部屋を出ていった。

「ごめん、あれ、俺の兄貴。あれでもT大生」

「いいね、兄弟って」

「まぁな、あれでも、頼りになる時もある」

「うん、仲良さそうに見えるよ。あたしも、もうすぐ弟できるからねぇ~そしたら、めちゃ可愛がるんだぁ~」

「茶、飲んだら、外出るか?なんか、落ち着かないし」

「あれ、カズ、勉強はいいの?」

「茶化すなよ。今日はいい、明日から頑張る」

「たまには、一緒に勉強しようよねぇ」

「お前いると、気ぃ散るからなぁ」

「何でぇ、あたしだって、ちゃんと勉強するよぉ」

「俺の気が散るの」

そう言うと、
カズはあたしを引き寄せて、
唇に優しくキスをした。

「こんな狭い部屋にお前と二人でいたら、俺、お前しか見えなくなっちまうよ…」



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