秘密～「ひみつ」のこと

「私も最近知ったんですけど、私、養女だったんです」

「つまり、離婚なさったご両親の養女だったわけですね」
お父様が、確認するように繰り返した。

「はい」

「で、私の父が運命的な出会いで結ばれた、再婚相手の唯ママが、実は私の本当の生みの母だったんです」

「？？」

「唯ママは、訳あって、高校三年の時に私を生んで、養女に出したんです。それは周りが決めたことで、唯ママの本当の意思ではなかったんですけど…で、唯ママはずっとそのことを後悔しながら生きてきて、今度私の父と再婚することになって、私と偶然、再会したんです」

「まぁ、そんなことって、あるのね」
容子ママが、あたしを優しく見つめてくれた。

「はい。私も驚きました。養女だって知った時もショックだったし、父が母と離婚してすぐ、他の人と再婚するって聞いて、またショックで…その上、その人には赤ちゃんがいるって…私、もう自分なんか必要ない、ゴミくずみたいな存在かなって、とっても落ち込んで…その時、カズがあたしに言ってくれたんです。『家族って共同体みたいなものだ。だから、自分が幸せになる、誰かを幸せにする、そういう目的で人が集うのも家族って言っていいんじゃないか』って」

「和徳がそんなことを…」

「はい、私、凄く勇気付けられて、新しい母に会う勇気が湧いてきたんです。そして、会ってみたら、唯ママは私の本当のお母さんだったんです！」

「今、私、とっても幸せです。ママとパパ、そして唯ママがいて、皆で生まれてくる弟を心から待ってるんです！」