秘密～「ひみつ」のこと

「よっ、優子、元気か？」

翔一さんが、話しかけて来た。

「あなた、随分と鼻の下が長くなってたわよぉ」

「そうか？」

「そうよ！」

「お前、出発の日、決まったのか？」

「ええ、年明けたら。住むとことかも決めないといけないし、少し早めにあっちへ行くつもり…唯さん、予定日何時だったかしら？」

「１２月４日」

「じゃ、クリスマスまで手伝いに来ようかな？色々と女手、必要でしょ？」

「準備とか、忙しいんじゃないのか？」

「もうあらかた終わってるの」

「ユイにも聞いてみないと…」

「あら、ユイさんがいいっていっても、あたしは来るわよ！家族なんだし」

「最近、ユイ、元気ないみたいで、ちょっと心配なんだ…」

「それはね、ユイさんが自分に自信をもてないから…幸せになる自分を許せない気持ちがあるから…でも、それは、ユイさん自身が乗り越えないといけない山なのよ。あたし達は、彼女がその一歩を踏み出すきっかけを探してあげることしかできない…」

「優子、君は今、幸せかい？」

「あたしはいつも幸せよ！わかってるでしょ？」

「そうだね、君はどこにでも幸せを見つけられる天才だったな」

「そう、あたしには、未来を信じる勇気があるの。それはね、あなたやサキやユイさん、そして生まれてくるショウ、あたしの家族がいるから信じられる未来なのよ！」