秘密~「ひみつ」のこと
和徳 カズ
確かあれは、俺が小学校6年の時。
父さんが出張で家を空けた夜、
母さんがひどく酔っ払った。
そんなに酔った母さんを見たのは、
後にも先にも、
その日だけ。
ろれつが回らないくらい酔っ払って、
目も虚ろになった母さんが心配で、
なんとなく側にまとわり付いていた。
「あんたは父さんの子じゃないんだよ…」
聞こえるか聞こえないか、
呟きのような、
耳を疑った母さんの言葉。
僕に向けられた言葉なのか、
独り言だったのか、
母さんは、
そう呟いた後、
ずっと泣いていた。
その言葉を聞いたのは、
後にも先にも、
その日だけ。
夢だったのかな、
時々そう思う。
でも、
夢じゃなかった。
夢じゃなかったんだって…
父さんが出張で家を空けた夜、
母さんがひどく酔っ払った。
そんなに酔った母さんを見たのは、
後にも先にも、
その日だけ。
ろれつが回らないくらい酔っ払って、
目も虚ろになった母さんが心配で、
なんとなく側にまとわり付いていた。
「あんたは父さんの子じゃないんだよ…」
聞こえるか聞こえないか、
呟きのような、
耳を疑った母さんの言葉。
僕に向けられた言葉なのか、
独り言だったのか、
母さんは、
そう呟いた後、
ずっと泣いていた。
その言葉を聞いたのは、
後にも先にも、
その日だけ。
夢だったのかな、
時々そう思う。
でも、
夢じゃなかった。
夢じゃなかったんだって…