秘密~「ひみつ」のこと

カズとサキ

あたしこの頃変だ。

何か、
異次元にいるって感じ。

異次元から、
みんなを見てるって感じ。

みんなのいる
現実に足を踏み入れると、
立っていられなくなりそう…

だから、
何も聞かない、
何も見ない、
だから、
感じることもない。

完全思考停止状態。

だけど、
放課後帰り道、
カズが
走って追いかけてきた。

カズはあたしの隣りに追いつくと、
覗き込むように話しかけた。

「サキ、お前、どうしたんだ?」

カズの言葉に、
現実に引き戻されそうになる。

「どうしたって、別に…」

「俺があんなことしたからか?」

「あんなこと?別に気にしてないよ」

上の空で答えた。

「気にしてないって、どう言うことだよ?」

カズの語気が、
少し強まる。

「えっ?」

ちょっと驚いて、
目の焦点あわせたら、
カズと
目があった。

「サキ、お前、聞こえてんのか?」

カズの優しい目が、
あたしを
覗きこむよ。

駄目。

涙出ちゃう。

駄目だよ、
現実には戻れない…

「ちょっと、こいよ!」

腕を摑まれた。

カズ?

あたしを
何処へ
連れてくんだよ~








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