【企】*変わらないもの*
駅にダッシュで駆け込んだが、時間切れ。


どうしょう…?


「しょうがないわ!タクシーしかないわね!」


中川さんは、タクシー代は会社で持つからと言ってくれた。



「…あの課長に捕まったら、何時になるか分からないわね?」


「あの、今日は色々と世話になりっぱなしですみません…」



タクシーを待っている間、かなり焦っていた。


あかりに連絡したいんだけど。


中川さんには、申し訳ない気持ちもあって。



「…あの、俺の彼女、中川さんに面影がちょっと似てるんですよ!」


あの、歓迎会からやっと解放された気分と、この空気をどうつないだらいいか?わからなかった。



「あら?そうなの!不思議ね?」


「あっ、はい!」


タクシーが来ると、中川さんとあかりの話で盛り上がった。


「…いいわね?若いって!私も小川君みたいな子、素敵だと思うわ。彼女が羨ましいわよ…」


中川さんは、どうやら遠距離恋愛をしている彼氏がいて、月に一度会えればいい方だと、少し淋しげに言った。



雨の音は大きくなる一方で、あかりの待つアパートに一刻も、早くつきたかった。
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