【暴ちゃん】Phantom Sweets【Miss Riot】
「お、いたのか」
源八は眠たげな目で彼女を見た。起きたばかりのようだ。彼は足を止め、五分刈りの頭をかく。
源八はひどい夜ふかしで、起きるのも昼前だ。この時間に彼女と顔をあわせるのは珍しい。
「おまえ学校は?」
「休むよ。今日は赤坂に行ってくる」
「伯爵の?」
「うん。別邸のほう」
「今日だったのか。そりゃ大事(おおごと)だ。ノートは誰に頼めばいい?」
「知るか」
この家に住む三人の学生。その中で、学校へ真面目に通っているのは彼女だけだ。朝寝坊の源八は、最近では仲間や本屋との打合せで、昼も夜も学業どころではないほど忙しそうだ。
もう一人の同居人は、日が昇る前に飛び起きて、そのまま東へまっしぐら。今頃はどこかの空地だろう。ベースボール以外のことは頭にないようだ。要領のいい源八はともかく、こいつは確実にまた落第すると彼女はみている。
源八は眠たげな目で彼女を見た。起きたばかりのようだ。彼は足を止め、五分刈りの頭をかく。
源八はひどい夜ふかしで、起きるのも昼前だ。この時間に彼女と顔をあわせるのは珍しい。
「おまえ学校は?」
「休むよ。今日は赤坂に行ってくる」
「伯爵の?」
「うん。別邸のほう」
「今日だったのか。そりゃ大事(おおごと)だ。ノートは誰に頼めばいい?」
「知るか」
この家に住む三人の学生。その中で、学校へ真面目に通っているのは彼女だけだ。朝寝坊の源八は、最近では仲間や本屋との打合せで、昼も夜も学業どころではないほど忙しそうだ。
もう一人の同居人は、日が昇る前に飛び起きて、そのまま東へまっしぐら。今頃はどこかの空地だろう。ベースボール以外のことは頭にないようだ。要領のいい源八はともかく、こいつは確実にまた落第すると彼女はみている。