愛のしるし
「ね、海はどう思う?」
「え…?」
自分の名前がいきなり出てきて、一気に頭が覚醒した。と同時に、少し寒気が走った。
菜都の話を、これっぽっちも聞いてなかったからだ。
「ご、ごめん…。今まで本気で寝てたから、ちょっとボーっとしてた…」
「今の話全部聞いてないの?」
「すみません…」
素直に謝った。菜都ならいつもみたいにため息つきながら笑って許してくれて、もう一回話してくれるはずだった。
でも、菜都から聞き取れた言葉は、決して良いものじゃなかった。
「もう、知らないんだから」
「え…?」