『鏡の中のマリア』
「藤井さんて綺麗だけど
 性格悪いよねっ。」

「藤井さんてちょっと怖い。」

「あの顔だから彼氏いるだけだよ。
でも、彼氏かわいそう・・・。」

「冷たい。」

「お面。」

「なまいき。」


女が悪口を言う時、

わざと聞こえるように言う。



私は心の中で、
(性格悪いのどっちだよ。
ブース!ブース!ブース!

ハーフはそれだけで綺麗に
見えんだよ!)



私は自分の顔が嫌いだった。

茶色すぎるこの髪も、
白すぎるこの肌も・・・全部。



優しい麻莉亜には
似合っていたのに・・・

この性格には似合わない気がした。



父親はアメリカ人、
商社に勤めているエリート。

私達の名前は父親が考えてくれた。
いかにも外国人がつけそうな
当て字の様な名前だ。


仕事が忙しくて
遊んでもらったことなんて
ほとんどなかった。



麻莉亜が死んだ後、

おかしくなった母を見てられず
家をでてしまった。






< 11 / 204 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop