『鏡の中のマリア』
次の瞬間

「麻莉乃?生きてたの。
 生きてたのね、よかったぁ。

 麻莉乃が生きてて本当によかった。


 でもね、麻莉亜死んじゃったの。

 どうしょう・・・麻莉乃・・・。」

母親は私をギュッと抱きしめ、泣きながら
麻莉乃の名前を呼び続けていた。


(ちがう・・・

私は麻莉亜。


お母さん何言ってるの?

私は麻莉亜だよ。


お母さん・・・)




母親は、麻莉乃の存在を
残すことで生きていた。


だから私は言えなくなった。


お母さんの前では
麻莉乃として生活しようと、

お母さんのために
麻莉乃として
生きてもいいかなって

そう思ってたのに・・・



何で?

何であんなことしたの?



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