『鏡の中のマリア』
パタン――

(フゥ~・・・)
閉めたドアに寄りかかり
溜息がでてしまう。

何の解決もしない空しさ・・・


廊下を歩きながら
片面にある全面ガラスに
目がいく。

外は建物に囲まれた
中庭になっていて、
結構な広さがあった。

全体に芝生があり、
ちょっとした公園のようで、
私はその中の大きな楠木の下に
いつも寄りかかっていたと
聞いたことがある。


そこにいるのは患者。


変な奇声をだし、走り
回ってる人や

ただベンチに座ってる人

面会に来ただろう両親と
車椅子に乗った少年。

先生2人に連れていかれてる
暴れる女性。





私は昔この中にいた。


症状により病棟が
わけられていた。

A病棟の人は窓に鉄格子と
ネットが張られ、拘束されてる人が
ほとんどだった。


B病棟に私はいた。
私は自分の体を傷つけたり、
暴れたりしなかったし
ちゃんと薬も飲んでいた。
少し心が壊れただけ。


C病棟は症状の軽い人や
1ヶ月以内の短期の入院の人だった。




(フゥ~・・・)
2回目のため息をついた時




「麻莉乃・・・?」


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