『鏡の中のマリア』
『これ案外有名なブランドで
めっちゃ高いらしいよ。』
と普通に言うと暁生は、

「ハァ――ハァ――、
お前、とりあえず服先に買いに行こう。
ムリ!俺笑い死にするから。」
って最後の方は
すでにまた笑っていた。



店に着くまで、
暁生は私を見ないように
前を歩いている。

『あんたのデニムきたないね。
洗ってる?』

後ろから話しかける私に

「これビンテージもんだから・・・
お前の服と一緒で高いんだよ。クククッ」
どうやらまだ笑いが
治まらないらしい・・・。

『その薄ピンク色の
Tシャツ染まったの?』

「まさか!そういう
お前も・・・ピンクだな(笑)」

そうとうツボに入ってるらしく、
暁生は店に着くまでの間、
思い出しては笑っていた。

後ろから肩を震わせ笑う
暁生を見て・・・

(周りの人からは、
あんたが変な目で見られてるよ・・・)
と言ってやりたかった。



私は、暁生の行きつけの古着屋で、
白いシンプルなAラインの
膝丈ワンピースを買い、
本命の場所に急ぐ。


ちなみにワンピースは800円だった。
(安っ!!)


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