machine
「mitsuko」
「うん。上手い。上手い。」
「おいしいね!」
「おいしいだろ〜。うちのカツ丼は福島1だよー!ははは!」
田中食堂は、素敵な老夫婦が切り盛りしていた。
「あの、おばさん。川内村ってどうやって行けばいいんですか?」
「川内村かい?そうだねーバスもあるけど。。一時間に一本あるかないかだからね。。
タクシーで行ってもそんなに遠くはないよ。
あんた達東京の人だろ?そんな所になんの用事があるんだい?お友達でもいるのかい?」
「友達。。。まあ、そんなところですかね。」
「おばさん。ネット繋がる所ありますか?」
「ネット?網?網なら魚とりのがあるけど?」
「あ。。。。大丈夫ですありがとう。」
電子の網は使えないようだ。

「ごちそうさまでした〜!」
「気をつけて行くんだよ〜。」

俺達はタクシーを呼んでもらった。
「川内村役場まで行って下さい。」
「はい。」

「なんかさー。どうでもよくなってこないか?」
「ああ。。俺もそう思った。」
「都会の中にいて、情報の渦の中に巻き込まれて、誰もが危険と隣り合わせに暮らしていて、いつどこで誰かが被害者や加害者になってもおかしくない日常に俺達はいるんだなって、ここに来て思った。」
「俺達は今被害者だけど、もしかしたら何かの拍子に加害者にだってなりかねない。今の世の中被害者や加害者になってる人間なんて沢山いる。」
「被害者と加害者は紙一重ってことかもね。」
「見る角度ってことかもしれない。」
「被害者意識から加害者になることは、多々あると思うな。」
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