machine
長い沈黙が続いた。

マコトは自分自身を支えてくれたミツコに何もしてやれないまま死んでしまった現実を直視できなかったのだと思う。彼は足が不自由で思うように行動することができなかった。だから、得意だったテクノロジーとマシーンを駆使して、何かに自分をぶつけたかったのだと思った。それがミツコに対する恩返しだと。
自分がミツコの為に何かをしている、その事が彼の平常心保っていたのだろう。
死んでしまった大切な妹の為なら、悪も悪だと感じさせない。
全ては妹の為の正義だと。


「君たちは、愛する物を絶対的に失った事があるかい?」
マコトが冷静さを取り戻していた。
「ないよ。」
「愛する者の死っていうのはね、なによりも悲しく辛い事なんだよ。自分の死なんかよりもはるかに辛い事なんだよ。
残された自分の中には想い出だけが残ってその記憶はどうしても消す事が出来なくて。
頭の中をぐるぐるぐるぐる駆け巡って、でも決して新しい記憶はもう絶対に作る事が出来なくて、時間は僕だけ進んでいくんだよ。
僕だけがどんどん大きくなっていくんだよ。
ミツコは。。ミツコは。。あの時のあのまま、ずっとあのまま僕の中にいて、お兄ちゃん。。って語りかけてくる。
僕がもっとしっかりしていて!僕の足がこんなんじゃなくて!
僕がそれをミツコが生きてるうちに手に入れられたら!
僕がこんな事をしたってミツコは生き返らないなんて解ってるよ。。
でも、僕はミツコの為に何かしたかったんだ!」

「マコトくんの気持ちはわかるよ。。でも。。」
「わかる分けないだろ!!!わかる分けないよ!」

俺は膝を折って、人工心臓のバックをマコトに手渡した。
「これは君に渡すよ。」
「ユウキ。。。」
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