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俺は車いすの手すりに手をかけた。

「これで君の目的は達成したはずだ。ミツコちゃんにも恩返しが出来たはずだ。だけど、これは間違っている。それは今の君ならわかっているはずだ。
こんなものがあったってミツコちゃんは帰ってきやしない。
君はミツコちゃんの為だと言った。でもそれは少し違うんじゃないか?
君はミツコちゃんの為に何も出来なかった、自分を許したかったんじゃないのか?これを今手に入れる事で、自分の中の自分を許してあげたかったんじゃないか?マコトくん。。君の行為は自己満足だよ。ここまでやったっていう自己満足じゃないのか?その為に何人の人が傷つき犠牲になっているのかわかっているのか!
その人達にも身内や愛する人、家族がいるんだよ!
それを考えた事があるか?
確かに君の気持ちはわかるよ。俺だって愛する人はいる。
それは決して失いたくないって思うし、その人との記憶を永遠に更新していきたいって思う。
でもそれはいつか必ず終わる時がくる。
亡くなったミツコちゃんの為に他に出来る事があったんじゃないか?
ミツコちゃんはこんな物を望んではいない。
それよりも、大切にしてくれたお兄さんが自分の記憶を早く想い出に変えて、もっともっと大きくなって欲しいと願っているんじゃないのか?
優しいマコトくんでずっといて欲しいって願っていると思う。」

「う。。うう。。うう。。」マコトは大粒の涙を流していた。

「マコト。。」
お母さんが玄関に立っていた。

「母さん。。。。」
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