本当の...




たぶんあたしは拓人との思い出を
忘れてしまうのが怖かったんだ。






誰かに話せば話すほど

あたしたちが一緒にいた証が
いろんな人の記憶に残るし






またあんな夢のような幸せな日々が


本当にあったことなんだと


安心できるから。







でもね?


ほんとは翔はいやだったよね。


聞いてもどうにもならないような
永遠と続くのろけを



毎日毎日聞き続けるんだから…





それが翔の優しさだったの?






そのときのあたしは自分のことだけで


翔のことなんて考えてなかった。
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