三度、死体は笑う
仕方なく、瑠璃子は“夜の蝶”へと舞い戻って行った。
独り瑠璃子を待つ夜は次第に俺の不安を募らせ、病気からくる精神的不安定さはひたすらに瑠璃子の身体を求める。
俺はまた知らぬ間に『出来損ない』に戻っていた。
瑠璃子の稼ぎを当てにしながら、不安と瑠璃子を抱いて過ごすだけの毎日。
そんな日々が続いた中で、ある日突然、呟いた瑠璃子の言葉。
「アタシ……堕ろすつもりだから……」
子供が出来た。
俺の子が。
正直、嬉しかった。
家庭と云うものに俺なりの憧れを持っていた。自分には与えられることはなかった『温かい家庭』……『温かい家族』……今の不安な毎日を蹴散らす程の未来と云う希望。