三度、死体は笑う
◆悪夢
一度『出来損ない』に戻ると全ては、どうってことのないものに思える。
所詮、俺は何処までいってもその程度の人間だと。
絵理子はしばらく泊めてくれないか、と云った。
金は有るがホテル暮らしはもう飽きたのだと。
それに医者が側にいるのは安心出来るでしょう、とも云った。
特に断る理由もない。
独りでいるのは辛い。
最初はそんな軽い気持ちでいた。
何度も悪夢にうなされることになるなんて、考えもせずに……。
勿論、絵理子の“企み”等、知る由もなく……