三度、死体は笑う
◆死んだハズの女
俺は心底、金に困っていた。
もう死んでも構わないと思えた、あの日、俺は有り金を使い果たすまで酔い潰れ、女を一人拾った。
いや……
本当に拾われたのは、俺のほうだ。
通りの陰でゲロを吐いてた俺に女は背中を摩り、ハンカチを渡した。
ほんの少し、落ち着きを取り戻した俺は女の顔を見て、更に恐怖でこみあげた全てのものを吐き出した。何もかもを吐き出したかった。
そんな俺に一旦は傍を離れ、女は何処からかペットボトルの水を買ってきて差し出し、また背中を摩り始めた。