三度、死体は笑う


「アナタ、自分の家族がどうなったか知らないでしょ?」


家族……

真っ先に浮かんだのは、瑠璃子とその腹の中の子供のことだったが、その二人がどうなったのかを俺が知らない訳がない。
まして、その二人をこの女が知るハズはない。



……てことは、しばらく忘れていた……いや、消し去っていた方を思い出すしかなかった。



丁寧に深呼吸を続け、収縮する脳内に酸素を送り込むことを密かに繰り返しながら。



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