迷子のコイ
「・・・とし・・や?」


「うん。
 さっきアイツに俺、
 『オマエと付き合ってる』って
 ウソ言ったから・・・」


「・・・うん、そうだね・・・」


「俊哉がさ、誤解したら困るだろ?」


「・・・・・・・・・・・」



佐伯くんの言ってることは
半分だけわかったけど
その残りの半分を
あたしは理解できなかった。


( なんで俊哉がそこにでてくるんだろう )と。


なんだかこんなことが
前にもあった気がする・・・・・。



「今日のことは、俊哉に言わないから」


佐伯くんがあたしにそう言ったとき、
カレが何かを誤解してるコトが
やっとわかった。


カレはきっと、
あたしが俊哉をスキだと思ってるんだ!



「あ、あのねっ 佐伯くん!」


あたしはカレの誤解をとかなければと
そのとき無性に感じていた。

カレにそう思われることが
なぜかとても悲しく思えたから――――――。

< 106 / 203 >

この作品をシェア

pagetop