迷子のコイ
「カケル・・・最近こなくなったよね」


ナギが何気なく言った。


「うん、そーだね・・・」


あの日、
ナギの家からの帰り道の
あの出来事を
あたしは誰にも話してなかった。


誰にも・・・・・
俊哉もきっと、知らないと思う。


次の日会ったときも
俊哉はいつもと変わらなかったし
そのあと、しばらくたっても
何も言ってこなかった。

佐伯くんが、自分の心のなかにだけ、
閉まってくれてるんだとわかった。



「ま、アイツもそれどころじゃないか!」


俊哉以上に、
佐伯くんは中学サッカー界では有名だった。

将来プロを目指してるって
俊哉から聞いたことがある。

今回の大会も
そんな夢に向かっての
大事なステップだったから。
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