迷子のコイ
ナギが熱をだして倒れた
あの騒動以来、
クラスの女のコたちが
すこしずつ、
話しかけてくれるよーになった。


伊織ちゃんも、
ミナちゃんも・・・。


だけど、そんな中
頑としてあたしたちに
沙紀ちゃんだけは話しかけなかった。


気づけば状況は一転して、
今度は沙紀ちゃんが
シカトされるようになっていた。




『自業自得でしょ』


ナギはそう言ったけど、
あたしはなんだか不安だった。



けれど、あたしの不安をよそに
事態はなにも動かずに
1学期も終わろうとしていた。



夏の風が
やさしく髪をゆらした。


----------それはほんの
嵐の前の、静けさだった・・・・。
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