迷子のコイ
「・・・なんで言わないのよ!!」


あたしは止めに入った俊哉に向かって
その時初めて、
ずっとつかえてきたキモチを吐き出した。


「・・・なんで教えてくれないのよ!
 カケルが帰って来てること!
 なんであたしに言ってくれないの?
 ・・・ずっと待ってたのに・・・」


あたしの言葉に
ナギも俊哉もハッとした顔をした。

それまであたしとケンカしてたナギも
ケンカをやめてあらためて座り直す。



俊哉とナギは顔を見合わせると
心を決めたように
あたしに話しだした。


カケルのこと――――――。
いまのカケルの、
わかる限りのすべてのことを。
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