迷子のコイ
ふたりはまだ、
あたしに言ってないことがあった。


「・・・女と、住んでるから?」


ふたりは驚いたカオをしてあたしを見た。


「アイリ・・・あんた知って・・・?」


あたしは立ち上がり、
ベッドに腰をかけた。


「・・・くわしいことは、知らないけど」


「・・・そっか・・・」


ナギも立ち上がり、あたしの隣りに座った。


「もし、そーじゃなかったら、
 アンタにちゃんと
 話そうと思ってたよ」


「・・・ウン。 わかってるよ」



窓から入ってくる風が
あたしとナギの髪を揺らした。


あの事故からもう、2年がたつんだ。


「アイリ」


「ん? 何、俊哉?」


「・・・オマエさ、
 カケルに会いたいのか?」


「俊哉! あんた何言ってんの?」


隣りでナギが、俊哉を責めた。


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