迷子のコイ
唇がはなれた、一瞬。


「・・・スキ」


あたしはカケルに
想いを伝えた。

生まれて初めての告白だった。
初めてスキになった人への
はじめての・・・


声が ふるえた。

でも 伝えたい。


「スキなの カケルのこと
 ずっと ずっと・・・」


あたしはカレに
ずっと言えなかった想いを
心をこめて伝えた。



「・・・カケル・・・?」


それまであたしを
抱きしめていた両手を離し
カレはあたしを見つめた。


その目からは
さっきまでの優しさは消え
見下げるような
蔑むような
そんな光が宿っていた。


「・・・カケル・・・?」


「帰れよ!」


カレはあたしを突き放した。

どうして急にこんな態度をとるのか
あたしにはわからなかった。





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