迷子のコイ
「美羽《みはね》! 
 やめろっ!」


彼女はあたしの髪を引っ張った。


「こっち来な!
 ほら! 早く!!」


制服を掴まえられながら
あたしは玄関へと引っ張られた。


「美羽! 待てよ!」


後ろからカケルの
慌てる声が聞こえる。


「出てってよ!」


彼女は玄関のドアを豪快に開けた。


「美羽 違うんだ!
 アイリは関係ない!」


カケルの言葉も
いまの彼女へは
届かない。


「美羽さん!」


あたしは彼女に言った。


「あの・・・ホントに違うんです。
 カケ・・・佐伯くんとは
 なんでもありませんから!」



あたしが言ったその言葉に
彼女は怒りをあらわにした。





< 178 / 203 >

この作品をシェア

pagetop