迷子のコイ
「・・・ナギあんた、
 知らないわけじゃないでしょう」


美術室から廊下に出たあたしたちに
うしろから声がする。


「アイリに かまってると
 あんたもどうなるか
 わかんないよ」


「別に・・・・・」


ナギは振りかえらず
まっすぐ前を見据えたまま、


「被害者ぶってアイリを悪者にする
 ミナのほうが
 あたしにはわかんないね!」


そうして、あたしの手を
ギュウッと握ったまま
ナギはその場からあたしを
連れだしてくれた・・・。
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