迷子のコイ
・・・・・耳の奥から
キーンとする音が聞こえた。
そしてその途切れ途切れに
ときどき とおくで
だれかが楽しそうに笑う、
声がきこえた。
だけど今のあたしには
それすらも手に入らないもののように感じて
涙がとまらなかった。
「アイリぃ・・・」
頭のうえから
あたしを心配する、ナギの声。
ナギはあたしを
美術室から連れ出してくれると
人気《ひとけ》の多い校舎には戻らずに
生徒がめったにこない
北側の校舎に連れ出してくれた。
「アイリぃ、もう泣くなよ・・・ねっ!」
ナギのやさしい言葉に
あたしは余計に涙がとまらずに
ボロボロと泣いた。
「ナ・・・ギィ・・・」
あたしは
ぐちゃぐちゃになってるだろう顔を
ナギに見られたくなくて
手で顔をかくしながら
懸命に言葉をしぼりだした。
「ごめんね、ナギぃ・・・」
「ばか!なに言ってんの!
あんたは何も悪くないって!」
ナギは怒った口調で
ぶっきらぼうに そう言った。
キーンとする音が聞こえた。
そしてその途切れ途切れに
ときどき とおくで
だれかが楽しそうに笑う、
声がきこえた。
だけど今のあたしには
それすらも手に入らないもののように感じて
涙がとまらなかった。
「アイリぃ・・・」
頭のうえから
あたしを心配する、ナギの声。
ナギはあたしを
美術室から連れ出してくれると
人気《ひとけ》の多い校舎には戻らずに
生徒がめったにこない
北側の校舎に連れ出してくれた。
「アイリぃ、もう泣くなよ・・・ねっ!」
ナギのやさしい言葉に
あたしは余計に涙がとまらずに
ボロボロと泣いた。
「ナ・・・ギィ・・・」
あたしは
ぐちゃぐちゃになってるだろう顔を
ナギに見られたくなくて
手で顔をかくしながら
懸命に言葉をしぼりだした。
「ごめんね、ナギぃ・・・」
「ばか!なに言ってんの!
あんたは何も悪くないって!」
ナギは怒った口調で
ぶっきらぼうに そう言った。